高齢者にとって転倒は、大きな事故やケガにつながってしまう恐れがあります。介護施設においても、入居者の安全・ご家族の安心のためには、転倒対策は必要不可欠です。
前回の記事では、転倒の原因やリスクについてお話しました。 今回は具体的な対策方法について解説いたします!
前回の記事>>>高齢者の転倒の原因 – 繰り返す転倒を防ぐには?
目次
高齢者の転倒を予防するための対策
【場所別の対策】
【その他の対策】
高齢者が転倒した場合の対応方法
転倒後の起こし方
転倒後の観察項目
転倒後の施設の対応方法
高齢者の転倒は早期発見することも重要
まとめ
■高齢者の転倒を予防するための対策
高齢者の転倒を予防する対策を紹介します。
【場所別の対策】
高齢者が転倒しやすい場所ごとの具体的な対策例を紹介します。
自室内やベッド回りでの対策
- 自室の床に電気コードや障害物を置かないようにする
- ベッドは窓際に寄せて転落を防ぐ
- ベッドガードを設置して、安全な立ち上がりを補助し転落を防止する
- ベッドの高さを低くする
トイレでの対策
- 離床センサーなどを設置しておきトイレに付き添いする
- トイレにナースコールを設置しておく
浴室での対策
- 脱衣所や浴室の床が濡れていないことを確認する
- 滑り止めのマットを敷いておく
- 入浴する際は声をかけてもらう
- 入浴時間が長い場合は様子を確認する
階段や段差での対策
【その他の対策】
普段からの食生活に気をつけて体を動かすことも転倒予防につながります。
栄養バランスを考えた食生活
日頃から栄養バランスのとれた食事をとることで、転倒リスクを予防する体づくりにつながります。肉や魚介類・緑黄色野菜・海藻・いも類・果物など、さまざまな食品をバランスよく摂取しましょう。ただし高齢者の場合は、食べたくても食が細くなっていることもあるため、サプリメントなどで栄養素を補うこともポイントです。
転倒しにくい身体づくり
無理なく体を動かす習慣を作ることも大切です。とくに足腰の筋力とバランス力は転倒予防に効果的です。以下のトレーニングを取り入れてみてください。
- 椅子に座る・立つ
10〜15回を2セット行うのが目安です。立ち上がりの運動で太ももの筋力をアップさせます。
- 片足立ち
椅子などにつかまりながら、片足を上げて10秒キープする動作を両足行います。10〜15回ほど繰り返して、バランス力をアップさせましょう。
■高齢者が転倒した場合の対応方法
高齢者が転倒しないように予防策をとっていても、転倒してしまうこともあります。万が一高齢者が転倒した場合、どのような対応をとればよいかについて解説します。
転倒後の起こし方
高齢者が転倒した場合、無理に起こそうとすることは絶対に避けましょう。骨折や頭部外傷などを負っている場合、無理に体を動かすと症状が悪化してしまう可能性もあります。意識がない、頭部の外傷や骨折などがあるなどの場合は、それぞれ救急要請をしたり医師や看護師の指示を仰いだりと、それぞれ対処方法が異なるため注意が必要です。
ここでは転倒してしまった高齢者が、介護スタッフが伝える内容を理解できて体を自身で動かせる場合の、体の起こし方を解説します。
- 近くに手すりつきの椅子を用意する
- 身体の上体を起こし横座りの状態になってもらう
- 床に手と膝をついて四つん這いになってもらう
- 介護スタッフは入居者の骨盤を支える
- 椅子につかまりながら片足を前に出してもらう
- ゆっくりと状態を起こしてもらう
- 介護スタッフは骨盤を支えながら立ち上がりをサポートする
転倒後の観察項目
転倒後は冷静に高齢者本人の様子を観察して、必要な対処をする必要があります。
- 意識があるかどうか確認する
入居者の名前を呼んで意識の確認を行います。高齢者のなかには耳が遠くなって聞こえにくい方もいますし、転倒した衝撃で混乱してしまって呼びかけに反応できないこともあります。耳元で大きな声をかけたり肩をさすったりして、意識があるか確認します。呼びかけに反応がない、呼吸がないなどの場合はすぐに救急要請が必要です。
- 頭部や全身に外傷がないか確認する
頭部を打っていないかまずは確認します。脳にダメージを受けた場合、身体機能にも影響を与え日常生活に支障をきたす恐れがあるため、いち早く外傷に気づくことが大切です。そのほか、骨折や出血、打撲などの外傷がないか確認して、出血が多い場合は止血の応急処置を施します。
意識があり目立った外傷がなくても、頭部や神経などに支障をきたして症状があらわれることもあります。
転倒後の施設の対応方法
高齢者の転倒後の様子によって、対応は異なります。ここでは一般的な処置で対応できるケースと、重い症状がみられるケースに分け、それぞれの主な流れについて紹介します。
【一般的な処置で対応できる場合】
- 必要な応急処置をほどこす
- 介護施設内のベッドに移動させる
- 医師に診察してもらう
- 経過観察と必要な治療を行う
- 介護事故の報告書を作成する
- 自治体や医療機関、保険会社へ連絡
【重い症状がみられる場合の対応方法】
- 介護スタッフ・医師・看護師に報告する
- 医師の診察を受ける・医療機関を受診する
- ご家族へ一報を伝える
- 保険利用の検討をする
- ご家族に転倒の原因や今後の方針について改めて説明する
- 入院して治療を受ける
- 介護事故の報告書を作成する
- 自治体や医療機関、保険会社へ連絡
■高齢者の転倒は早期発見することも重要
高齢者の転倒を防ぐ対策はもちろん大切ですが、万が一転倒してしまった場合に早期発見できる環境づくりも重要です。頭部などへの損傷は、発見が遅れることでより深刻化する恐れもありますが、転倒したときに意識を失ったり声を出せなかったりして、助けを呼べない状況も考えられます。そのため介護施設では、入居者の動きを把握できるように居室内やベッドなどにセンサーを設置して環境を整えることが求められています。
ジーコムでは、介護施設専用設計の無線ナースコールシステム「ココヘルパ」を提供しています。ココヘルパはボタンでスタッフを呼び出す以外にも、様々な活用が可能です。たとえば入居者の起き上がりなどの動きを検知できるように、ベッドセンサーやマットセンサーとの連動が可能です。すでに他社の見守りセンサーを搭載している場合でも、ココヘルパであれば他社システムと連動できる点が特徴です。
また最上位モデル「ココヘルパX」は、センサー一体型のため離床や起床を非接触で検知できるほか、日頃から入居者の呼出履歴や体表温の変化などを記録しグラフで把握ができます。ベッドからの起き上がりや転倒などの異常な体勢変化などを検知して、介護スタッフに通知するため、万が一のときにも早期に発見し迅速な対応が可能です。また録画録音機能も搭載しているため、事故の原因を明らかにして再発防止策にも役立てられます。
■まとめ
高齢者の転倒は大きなケガにつながるリスクがあり、寝たきりの状態となって介護が必要となる恐れがあります。転倒を予防するために、転倒リスクの高い場所に対策を施すことや、日頃から食生活や運動などに注意することが大切です。また万が一転倒してしまった場合の対応方法や、早期発見できる環境づくりもあわせて行っておきましょう。
無線ナースコールシステム「ココヘルパ」はナースコールとしての基本機能はもちろん、映像技術や多彩なセンサーを活用しさまざまな機能を搭載することで、スタッフを呼び出す役割に加えて、見守り体制の強化を実現できます。
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