介護施設において入居者の快適な生活のために欠かせないナースコールですが、近年スマートフォンを連動できるものを導入する施設が増えています。これまでのPHSを使った運用とは違いさまざまなメリットがあり、業務改善が進むとして注目されています。この記事では、スマートフォンの連動によるメリットついて解説します。
目次
ナースコールはスマートフォンと連動ができるの?
スマートフォン連動型ナースコールを導入するメリット
拡張性が広がり業務改善につながる
PHSと比べて操作性に優れている
通話以外のコミュニケーション手段が可能
複数機能をスマホ1台に集約できる
導入費用を抑えられる
システムのアップデートができる
■ナースコールはスマートフォンと連動ができるの?
介護施設においてナースコールは、入居者の快適で安全な暮らしのために欠かせないツールです。介護施設の多くは、入居者が呼び出しボタンを押すと、事務所に設置したナースコール親機やPHSに通知が入る仕組みのナースコールを使用しています。しかし近年では、ナースコールにスマートフォン連動できるものが登場し、導入する介護施設が徐々に増えています。
スマートフォンを連動できるナースコールを導入することで、介護施設が抱えやすい悩みや負担を軽減でき、介護ケア品質の向上につながります。そのほかにも多くのメリットが得られるとして、導入する施設が増えているのです。
■スマートフォン連動型ナースコールを導入するメリット
現在の介護施設の多くは、「ナースコール親機を設置した事務所にスタッフが常駐する」あるいは「スタッフがPHSを携帯する」といった運用方法がほとんどです。
スマートフォン連動型のナースコールを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
拡張性が広がり業務改善につながる
スマートフォンにさまざまなアプリケーションを入れられるため、拡張性が高いことがメリットです。
たとえば、ナースコールシステムによっては、別システムである「見守りセンサー」や「介護記録ソフト」と連携できるものがあります。見守りセンサーの通知をスマートフォンから確認できるため、駆けつける前に入居者の状況を把握できるようになります。
また介護記録をスマートフォンから入力することもできるため、スタッフステーション等にわざわざ戻る必要がなくなります。さまざまな業務を効率よく行えるようになるため、スタッフの業務改善にも有効です。
PHSと比べて操作性に優れている
PHSの場合、ボタン操作が必要ですが、スマートフォンなら画面タップやスクロールだけのため、スムーズな動きと直感的な操作が可能です。スマートフォンはプライベートでも使う方が増えているため、機械操作が苦手な方や新人スタッフの場合でも、違和感なくすぐに使いこなせます。
またスマートフォンは、PHSよりも画面が大きく見やすいこともメリットです。文字だけ表示するPHSと比較すると視覚から得られる情報量が多く、見守りカメラの映像を確認したり、通知の内容を色分けできたりします。ナースコール呼び出しがあった際に、状況判断や確認作業のスピードが上がり、迅速な対応にもつながります。
通話以外のコミュニケーション手段が可能
事務所の親機やPHSは、通知の受け取りと通話のコミュニケーションができますが、スマートフォンの連動によって、さらに多くのコミュニケーション手段が可能です。
たとえば、以下のような使い方ができます。
- 急ぎでない要件はチャット機能を使ってメッセージ送信する
- 複数のスタッフへ同時に一斉通知をして情報発信する
- インカムを連携してハンズフリーで会話する
豊富なコミュニケーション手段により、報告や連絡のために時間を割くことがなく、スムーズに情報共有が可能です。
スタッフ間のコミュニケーションも活発化され、業務改善にもつながるでしょう。
複数機能をスマートフォン1台に集約できる
スマートフォンであれば、複数の機能を1台に集約できる点も大きなメリットです。介護施設の多くは、PHSのほかにも見守りセンサー専用の端末や、介護記録のための筆記具なども一緒に携帯しているということもあるでしょう。このように複数のツールを常に携帯しなければならない状況だと、介護スタッフの身体への負担は大きくなります。
しかしスマートフォンであれば、複数の端末やツールを1台に集約できます。たくさん持ち歩く必要がなくなり、身体の負担軽減にもつながります。
またスマートフォンには、電話やメモ、電卓などのほか、夜間の巡回にも使えるライト機能なども備わっています。便利に幅広く活用できる点もメリットです。
導入費用を抑えられる
スマートフォン連動型のナースコールは、導入費用を抑えられるメリットもあります。スマートフォン連動型のナースコールの場合、Wi-Fiなどの無線環境の構築が必要ですが、有線タイプのナースコールよりも工事の規模が小さく済むため、その分コストは抑えられます。またWi-Fi環境の構築は、ナースコールの用途以外にも活用できます。
さらにナースコール以外の機能も集約できるため、これまで必要だったPHSや見守り機器のツール、介護記録などのその他ツール類を減らせます。
結果的に、複数のシステム管理や機器導入にかかっていたコストをカットできるため、トータルでみるとコストメリットもあるといえるでしょう。
システムのアップデートができる
PHSと比較すると、システムのアップデートを継続的に行える点もメリットです。スマートフォンのソフトウェアを常に最新の状態に更新できるため、パフォーマンスの向上やセキュリティの強化を自動で行える点も利点です。
では具体的にどのようなことができるのでしょうか?
次週は、ナースコールとスマートフォンを連動させることで何ができるのか、その例をご紹介します。